USE CASE

  • SUZUKI FLEET

    社会福祉法人 菊川市社会福祉協議会 様

    福祉分野での導入事例

    福祉有償運送の「工数削減」「最適化」を一挙に実現。ルート作成から問合せ対応、安全運転推進まで。

    静岡県菊川市で福祉のまちづくりを目指して事業を展開されている菊川市社会福祉協議会様。地域課題を解決するためにさまざまな取り組みを実施する中で、送迎、移動などに使用する車両は欠かせません。しかし、車両を利用するにあたり、管理面や運用面での課題が浮き上がります。それらの課題をSUZUKI FLEETでどのように解決してきたのか、同協議会の次長を務める堀川直樹様にお話を伺いました。

     

     

    きっかけは実証実験。効果を感じて利用継続へ

     

    はじめに事業内容について教えてください。

     

    菊川市社会福祉協議会は、社会福祉法の109条に位置付けられる、地域福祉の推進を目的とした団体です。地域の皆さんの福祉力向上を目指し、啓発活動から地域の課題把握、課題解決のための取り組みなど、さまざまな調査から施策の実施まで対応しております。また、市の受託事業や独自の事業以外に、児童館事業、介護保険事業、介護保険内の訪問看護も担っています。

     

    生活支援コーディネーター事業を菊川市から受託し、地域の皆様と生活支援に関わる取り組みを作り出す業務に携わっています。福祉有償運送事業という移動支援や買い物支援の取り組みを進める中で福祉車両が必要となったため、鈴木道雄記念財団が行なっている福祉車両等の寄贈に応募しました。

     

     

     

    数多くの事業を手がけられていますが、移動支援や買い物支援(福祉有償運送)は全事業のうちどれくらいの割合を占めるのでしょうか。

     

    独自で地域課題として取り組んでいる事業としては、有償運送事業の割合は大きいかと思います。昨年一年間で、福祉有償運送を1,580回実施しました。

     

    当協議会が福祉有償運送事業を開始したのは2012年ですが、地域の課題として上がっていたのは2009年ごろです。課題を取りまとめ、「市社協が、制度ではなく、地域の中でどのような取り組みができるか」を考え、2011年より福祉有償運送事業の運転担い手を作る講座を開講しました。福祉有償運送ができる人を増やすために、国土交通大臣の指定を受けたカリキュラムのもと実施しています。

     

    SUZUKI FLEETを活用した取り組みは、2022年の実証実験からスタートし、その後本導入に至ったと伺っています。

     

    実証実験は、スズキさんからご提案をいただきました。鈴木道雄記念財団から車両を寄贈いただいた際に、車と地域課題の解決にもご協力いただき一緒に取り組むことになり、まずは実証実験として、SUZUKI FLEETの利用を開始しました。

     

    職員数が限られていますし、車の運転は常に事故のリスクが伴うものですから、お話を聞いたときに、効率よく安全に運行するという観点で非常に役立つと感じました。そして、実際に使用したところ、走行ルートが可視化できたり、安全運転が数値化できたりすることに安心感を覚えましたし、業務の効率化にもつながりましたので、実証実験後も継続して利用しています。

     

     

    課題をフェーズ毎に分解し、解決に向けたプロセスを定義

     

     

    SUZUKI FLEETの活用についてお伺いします。実証実験を行う前は具体的にどのような課題をお持ちだったのでしょうか。

     

    さまざまなことを課題に感じていました。そのため何から始めたらよいのか、わかりかねていたのです。そのような中で、まずは現在の課題をざっくりと洗い出し、そこから、スズキさまがSUZUKI FLEETで解決できそうな部分をピックアップし、フェーズごとに解決に向けたプロセスを作ってくださいました(下図)。取り組むべき課題が明確となり、現在では、順番は前後しつつも、おおよその課題をクリアしています。

     

     

    とくに成果を感じたのはどの課題に対してでしょうか。

     

    一番大きな成果を感じたのは、フェーズ1の「問い合わせ対応工数の削減」です。利用者さまから到着時刻の問い合わせをいただくことが多いのですが、SUZUKI FLEETはリアルタイムで位置情報が把握できますので、スムーズに回答できるようになり、確認に要していた工数が激減しました。

     

    また、運転手さんが道に迷ってしまったときも、位置情報がわかることでスムーズな案内ができます。たとえ運転手さん自身がどこにいるかわからなくても、管理画面を見ればこちらで把握できますので、素早く、そして的確に案内ができます。そのため、運転手さんの業務をサポートする際にも非常に役立っています。

     

    次に大きく改善されたのが、フェーズ3の「ルート作成工数の削減・最適化」です。事前に、「どの車が、誰を、何時くらいに迎えに行く」という運行計画を立てていますが、変更を余儀なくされるケースもありますし、紙で書いているので、必要なときに確認がしづらいという課題がありました。SUZUKI FLEETだと管理画面上で簡単に作成できますし、ログインすればどこでも誰でも確認ができます。

     

     

    以前は、WordとExcelと紙で作成していたため、管理が非常に煩雑だったのです。今は、どこにどの車両があるかが一目瞭然ですので、管理面でも楽になりました。予約の電話や問い合わせにも即答できますし、追加やキャンセルが入っても柔軟な対応が可能です。

     

    Excelだと同時編集ができず、入力したはずの内容が消えてしまうこともあるので、紙でも管理していたのです。今はパソコン一台あれば作業ができます。

     

     

     

    「しかたがない」と思っていたルート作成の時間と手間を大幅に削減

     

     

    ルート作成についてもう少しお伺いさせてください。以前は管理が非常に煩雑だったとのことですが、SUZUKI FLEETでどのように改善されましたか?

     

    今までのオペレーションでは、3つのExcelと紙で記入管理が必要でした。初めにExcelの予約表に利用者さま情報を登録します。「いつ・誰が・どの車で・どこに」などを割り当てるのですが、予約表作成時点で運転手さんが確定していないことも多いため、別のExcelで運転手シフト表に合わせた運行表を準備します。そして送迎後は、別のExcelに送迎実績を転記し、利用料金の集計を行います。

     

    このように、予約・運行表・送迎実績をそれぞれExcelのファイルで管理し、印刷していたのです。毎回すべてのファイルに同じ内容を打ち込む必要がありますし、変更があった場合は手書きで修正が必要なので、かなりの手間になっていました。

     

    しかし、SUZUKI FLEET導入後は、予約・運行表・送迎実績をまとめてシステム管理することができるようになりました。料金関連の集計に関しては、最終的に福祉有償運送の提出様式に揃える必要があるためExcel管理が残っていますが、時間も手間も大幅に短縮できたと感じています。

     

    新しいシステムへの移行という点では苦労された点も多かったかと存じます。

     

    今は慣れましたが、初めは計画の出発・到着時間を入力しなければ保存できない点に苦労しました。逆に言えばそれぐらいでしょうか。あとは直感的に使うことができましたので、それほど大変だと感じたことはありません。

     

     

    SUZUKI FLEETをご利用される前は別のシステムを試していたと伺いました。

     

    もともとデイサービス事業で利用していたシステムを、福祉有償運送事業でも使ってみてはどうかと取り入れてみたのです。しかし、デイサービス送迎用に設計されているシステムだったため、現場から「使いづらい」という不満の声が出てしまいました。運転手さんには携帯電話から出発・到着を入力してもらわなくてはならず、その点も業務の支障になってしまったようです。

     

    福祉有償運送は、書類提出のために領収書を発行したり、メーターを切ったりなど、運転以外の作業も発生します。そこに追加作業が発生すると、その分運転手さんの負担が増えてしまうのです。運転手さんに負担をかけることなく、業務を効率化できたという点は、SUZUKI FLEETを導入した大きなメリットだと感じています。

     

     

     

     

     

    車両予約や走行履歴の確認など、副次的な効果も実感

     

     

    当初の想定課題以外で、SUZUKI FLEETが役に立ったような場面はございますか。

     

    「車両予約」と「走行履歴の確認」です。

     

    福祉有償運送事業以外にも貸し出し車両として車両を利用しており、以前は予約内容をExcelに入力し、それを印刷した紙で予約管理をしていましたが、その手間が不要になりました。

     

    走行履歴については、利用者さまに請求書をお渡しした際に、「病院の行きと帰りで料金が違うのですが」というご意見を頂戴したときの事実確認に利用しています。

     

    走行距離ごとに料金が変わる仕組みですので、行きの運転手さんと帰りの運転手さんで走行ルートが違うなど、理由がシステム上ですぐに把握できると、利用者さまにもご納得いただけるのです。

     

     

    走行履歴では、誰がどのようなルートで、何km走行したかを確認できます。そこで記録された情報をもとに、利用者さまへ適切な説明ができるということですね。

     

    私たちとしても、利用者さまには、できるだけ安くご利用いただきたいと思っています。行きと帰りで料金が違っていた理由を明確にできれば、揉めることもなく会話ができ、私たちも、どのルートが最適かを考えることができます。

     

     

     

    福祉業界で安全な運行と業務効率。どちらも実現する「SUZUKI FLEET」

     

     

    今後、SUZUKI FLEETをどのように活用していきたいとお考えでしょうか。

     

    安全運転の実現に向けた取り組みを進めていきたいです。

     

    車両を利用している以上、事故を防止し、常に利用者さまの安全を守らなければなりません。運転状況が可視化できれば、危険操作が発生しやすい場所も把握できますし、安全運転研修に反映すべき内容を理解できます。

     

    また、運転手さんにはご協力という形で業務を担っていただいているので、私たちも運転手さんの安全を守らなくてはなりません。そういった意味でも、運転状況を把握できることは非常に重要なのです。

     

     

    すでに実施されている安全運転への取り組みはございますか。

     

    年に1回、安全運転講習を開催しています。昨年度はJAFさんに交通ルールや危険運転の講義をしていただきました。また、福祉有償運送では介助も行いますので、見守りや車への移乗に関する研修も別途、実施しています。

     

    今後は、実際の走行履歴と安全運転診断のデータを講習に活かす、というような使い方ができないかなど、検討していきたいです。

     

     

    最後に、SUZUKI FLEETは、送迎事業を展開されている企業や福祉協議団体にとって役立つサービスだと思いますか。

     

    安全な運行という観点でも非常に有用ですし、限られた予算とリソースで運用する際には、このような効率化できるツールが不可欠ではないでしょうか。

     

    非常に役立つサービスですが、そこへどのように予算をつけられるかが福祉業界の課題です。長い目で見ると、大きな費用対効果が得られるものですから、同じ業界の方々にも上手く活用していただけると良いなと思います。